風力発電所から電力系統との連系まで
風の力で風車は電気を作ります。発電した電気は電圧や周波数を整えて電力会社の系統に連系します。簡単にいえば送電線で繋げることです。ここでは電力会社と連系するための送電線や変圧器などの電気工事について説明します。
風車は690vで発電し風車内の変圧器で22kvに昇圧して変電所と繋げます。また電力会社の系統と連系するには電圧を揃えなければなりませんので変電所を設けて、更に昇圧します。風車や変電所はそれぞれ送電線で繋がっています。送電線は地中に埋設することで景観の保全や鳥類の接触回避に努めています。 また電圧が高いほど送電の効率がよいため、電力系統までの距離が遠い場合は中間変電所を設けて特別高圧で送電します。高圧の送電線はコストと手間がかかりますので、距離に応じた送電方法を見極めるのが重要です。
サイト内電気工事
風車は各パーツごとに分けて運ばれ、それを組み立て一つの風車になります。風車で発電した電気を送電するには電力ケーブルを各風車内設備に繋ぎ送電線で風車を繋いで変電所へ接続します。また通信回線を繋いで管理棟と本社での二元監視が可能になります。その他、航空障害灯など必要な設備を設置していきます。
変電所工事
中継変電所(長距離を送電する為に昇圧させる施設)と連系変電所(電力系統と連係させる為に昇圧させる施設)の建設工事です。呼び名が違うだけで昇圧(電圧をあげる)させるという点で機能は同じです。
22kv送電線工事
サイト内の風車を繋ぐ送電線の埋設工事です。連系変電所まで22kvで繋ぐ場合はサイト外まで工事していきます。同時に風車を管理するための制御用光ファイバーケーブルを埋設していきます。
22kv送電線は基本的に管理道の端に埋設していきます。
サイト外の場合は公道の端に埋設していきます。
ケーブルはドラムに巻かれた状態で届きます。 | |
管理道を掘削して保護砂を敷きケーブルを敷設していきます。 22kvは直接埋設ケーブルを使用しているので土に埋めることができます。 66kvの場合は管の中にケーブルを通します。 こういった点でコストの差が出てきます。 |
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接続は直線ジョイント方式(防水) | |
埋設表示シート(掘り起こしたときに下にケーブルがあると知らせるもの)を設置し埋め戻します。メンテナンス用のマンホール設置します。 |
66kv送電線工事
中継変電所から連系変電所、連系変電所から電力系統までを繋ぐ送電線の工事です。電力会社の電圧に合わせて送電線の種類は変わります。鉄塔(変電所の場合もあります)近くまで埋設し開閉器(変電所参考)で接続します。
基本的に公道に沿って埋設していきます。距離が短い方がいいので、どの道を通すか綿密に計画します。
道路を掘削しケーブルを埋設していきます。 | |
66kv送電線の場合、管の中にケーブルを通します。 | |
ケーブル同士の接続は直接接続。 | |
接続部防護箱で覆います。 | |
埋め戻し、舗装して現状復帰します。 通常、掘削箇所はその日のうちに埋め戻し復旧します。 |
試験・調整
全ての設備が整ったら、仮の電気を流して漏電がないかなどチェックします。
地中埋設なので絶縁があると、場所を特定するのが大変です。工事の段階で慎重に施工しなければなりません。
試験項目は変電所、風力発電機にそれぞれ以下の様な項目があります。
- 変電所検査項目
- 1.外観検査
- 2.接地抵抗測定記録
- 3.絶縁抵抗測定記録
- 4.絶縁耐力試験記録
- 5.保護継電器特性試験記録
- 6.保護連動試験記録
- 7.機器操作試験記録
- 8.インターロック試験記録
- 9.シーケンス試験記録
- 風力発電機検査項目
- 1.外観検査
- 2.接地抵抗測定記録
- 3.絶縁抵抗測定記録
- 4.絶縁耐力試験記録
- 5.保護継電器特性試験記録
- 6.保護連動試験記録
- 7.風車用保護試験記録
- 8.機器操作試験記録
- 9.インターロック試験記録
- 10.総合インターロック試験記録
- 11.制御電源喪失試験記録
- 12.負荷遮断試験記録
- 13.負荷試験記録