風力発電の課題とその取り組み
風力発電は完成されたものではありません。発展途上にある風力発電には様々な問題があります。 開発に伴う野生動物・植物への問題。運転に伴う騒音・低周波・電磁波・電波障害・景観の問題。強風・落雷などによる事故の問題。使用済み部品の処分問題。また、機器の技術的な課題もあります。 こうした問題を少しでも改善しようと、CEFでは様々な取り組みを行っています。
課題の種類と取り組み流れ
「騒音」「低周波」「電波障害」「地形及び地質」「開発に伴う動植物への影響」「景観」に対する取り組み
→開発前環境影響調査
環境への影響を事前に予測・評価し、必要であれば、その程度の回避・低減の為に開発計画を再検討します。 また、こうした手続きを通して、周辺地域や生態系との共生を図り、住民の方々からの理解を得ることを目指しています。
「騒音」「低周波」「電磁波」に対する取り組み
→開発後環境影響調査
建設が終わり、稼動を開始した風車サイト周辺で、騒音・低周波・電磁波の実地測定調査を行い、開発前調査、資料との整合性を確認します。これらの結果を受けて、詳細な分析を行うことで、更なる対策を研究することができます。
「騒音」「低周波」に対する取り組み
CEFでは、サイト建設前後の調査結果とその後の分析を踏まえ、早急に実施可能な対策として以下の2点を実施しています。
→ナセル内のジェネレーター冷却ファンの電圧を下げることで、ナセル内からでる騒音/低周波を下げる
→ナセルの内壁にサイレンサー(吸音材)を取付け、ナセルからでる騒音/低周波を吸音する
ナセル内には発電のための装置が最も集中しているため、必然的に騒音・低周波の発生しやすい場所と言えます。 そのため、この部分に対する工夫は、騒音・低周波の発生を抑えるには、非常に有効であると考えられます。 現在、検証も兼ねて、CEF南あわじウィンドファームの(1.9.11.12.14.15)全基においてこの取り組みを実施しています。
出典:日本風力発電協会「風力発電長期導入目標とロードマップV2.1」
「山林開発における動植物」「地形及び地質」「景観」への取り組み
→環境負荷1/3を実現するCEF特殊クレーンと特殊工法
日本は国土の大部分が山岳地帯ですが、CEFでは世界で初めてドイツ、リープヘル社と共同開発し、急峻な山岳地を平坦地と変わらない風車開発可能地としました。この世界初の特殊クレーンよって、従来と比べ森林開発面積を1/3まで抑えることができ、また、CEF独自の建設技術を活用することで、開発必要面積を大幅に縮小することも可能になりました。こうした取り組みは、野生動物、植物への負荷を減らし、景観、地形、地質への影響に対しても効果があります。
→開発地の緑化整備による景観修復
サイト建設に際してやむなく伐採した土地には、その後緑化整備を行います。
また、地域の住民の方々と協力して行う緑化作業も、徐々に実施をはじめています。
「バードストライク」への取リ組み
バードストライク(Bird Strike)とは鳥が構造物に衝突する事故のことを言います。一般的には航空機、鉄道、自動車、ビル、灯台、送電線や送電鉄塔などと鳥の間に起こる問題です。そして風力発電施設においても、同様の問題は起こっています。
可能な限り、このような問題を起こさないためにも、CEFでは様々な対応策を実施し、更に進歩的な策の検証も進めています。
→地中埋設線
風車自体と同じく、そこから伸びる送電線もバードストライクの原因になる可能性が高いと言えます。
その可能性をゼロにするため、CEFは全ての電線を地中に埋設しています。
→白色閃光灯
風力発電サイトでは、周辺を航行する航空機に対して、その存在を認識させ衝突を回避させるために、ナセル上部に航空障害灯を設置しています。 CEFでは、この航空障害灯も兼ねた高光度の白色閃光灯を、鳥類への衝突回避策として24時間点灯させています。
→夜間照明実施
風力発電サイトでは、周辺を航行する航空機に対して、その存在を認識させ衝突を回避させるために、ナセル上部に航空障害灯を設置しています。 CEFでは、この航空障害灯も兼ねた高光度の白色閃光灯を、鳥類への衝突回避策として24時間点灯させています。
→ブレードペイントの検証
鳥類の目は人間に比べて、モーションスミア現象が起こりやすいという実験結果が出ています。この現象が風車におけるバードストライクの大きな原因の一つと考えられています。CEFでは現在ブレードに直接ペイントを施すことでの対策を検証中です。
→サイト内巡回
鳥のエサになるようなもの(シカの死骸など)を風車の近辺に放置しないように、毎日サイト内の巡回を行っています。
「出力変動」への取り組み
→Wind Farm Management Systemの導入
通常、風力発電は風速の変動に従って需要と無関係に出力が変動し、電圧や力率の変動をもたらします。
これは、風という自然を相手にした時に必然的に起こってしまうことですが、安定した電力供給という点で非常に悩ましい問題です。
しかし、CEFが採用しているWind Farm Management Systemは、サイト内全ての風車に対して「出力の制限」と「力率の変更」を可能にします。これにより、サイト全体からの出力を安定させることが可能になります。現在このシステムを応用することで、1本1本の風車を分散電源としたSMART GRIDへの活用を外部機関(東京工業大学総合研究ソリューション研究機構 嶋田研究室)と共同で研究中です。